シーズンの価値を下げる?プロ野球のクライマックスシリーズの意義とは?

毎年プロ野球のシーズン終了後に行なわれる、日本シリーズに進むチームを決める短期決戦、「クライマックスシリーズ」。既に15年以上の歴史がありますが、制度を疑問視する声もないわけではないようです。

今回はクライマックスシリーズについて改めて紹介します。

クライマックスシリーズとは

クライマックスシリーズとは、プロ野球のシーズン終了後にリーグの上位3チームで改めて日本シリーズの出場チームを決める制度です。2004年から2006年に行なわれたパ・リーグのプレーオフ制度を前身としており、同制度のルールを整えた上でセ・パ両リーグで開催されることとなりました。

クライマックスシリーズのルールについて

続いて、クライマックスシリーズルールについて紹介します。クライマックスシリーズは両リーグの規定日時点でのレギュラーシーズン3位以上の3チームで行われます。ファーストステージとファイナルステージに分かれており、指名打者制度は両リーグともレギュラーシーズン同様にセ・リーグは9人制、パ・リーグはDH制で行なわれます。審判については球審、塁審の4人と、ライト側、レフト側に1名ずつ配置する6人制が導入されていますよ。

ファーストステージ

ファーストステージではレギュラーシーズン2位球団と3位球団が対決します。球場は原則2位球団の本拠地、試合数は最大3試合です。勝敗についてのアドバンテージはなく、3試合のうち先に2試合勝利したチームがファイナルステージに進むことができます。ただし引き分けが発生した場合(1勝1敗1分・3分)の場合は2位球団がファイナルステージに進出できますよ。2位球団からすると引き分けも一勝と見ることができるかもしれません(1敗2分の場合はその限りではありませんが)。

1勝1分けの段階で終了となる

2021年に開催されたパ・リーグのクライマックスシリーズファーストステージでは、2位球団の千葉ロッテマリーンズが一戦目を勝利、二戦目は3位の東北楽天ゴールデンイーグルス相手に9回の表まで4対4だったのですが、同年はコロナ特例で延長戦が行なわれず、この時点で2位マリーンズの1勝1分け以上が確定、ファーストステージ勝ち抜けが決まったため同点だったにもかかわらず9回裏の攻撃を行うことなく試合終了となりました。

ファイナルステージ

ファイナルステージではリーグ優勝球団とファーストステージの勝者が対決します。球場は原則リーグ優勝球団の本拠地、試合数は最長6試合で4戦先取した球団がファイナルステージの勝者となります。ただし、このファイナルステージでは優勝球団に1勝分のアドバンテージが与えられます。ファーストステージ同様、アドバンテージ分含めて3勝3敗1分けになるなど、勝敗数が同じになった場合はリーグ優勝球団がファイナルステージの勝者となりますよ。

クライマックスシリーズの課題

シーズン143試合を戦い、折角優勝チームを決めたのに短期決戦の結果で日本シリーズ出場の権利が没収されることに疑問を呈する人もいます。また、レギュラーシーズン1位以外のチーム同士の対戦になることが懸念されていたり、勝率5割未満のチームがその年の最強チームを決める日本シリーズに出場する可能性があること、6チームのうち半分の3チームが出場できることなども批判の対象となっています。

懸念事項は今のところ起きていない

2022年までのクライマックスシリーズで、シーズンで借金を抱えたチームが日本シリーズに出場したことはありません。また、シーズン優勝を逃したチーム同士での日本シリーズも実現していません。2007年から2022年、セ・パ合計31度のクライマックスシリーズで優勝球団以外が日本シリーズに出場したことは各リーグそれぞれ3度、計6度しかなく、優勝チームが非常に有利な制度となっておりシーズンの価値を下げるとは言えない結果が出ているように思われます。

クライマックスシリーズの意義

クライマックスシリーズは、主にシーズンの消化試合を減らし観客増員を図る目的で行なわれます。また、クライマックスシリーズの試合の主催は本拠地球団が行なうことができ、その分の試合の収益を得る事ができるのでこの点もシーズンで上位に入ることの価値となっています。

プレーオフ制度の反省も

クライマックスシリーズの前身となったプレーオフ制度では、2004年リーグ勝率一位の福岡ダイエーホークス、2005年リーグ勝率一位の福岡ソフトバンクホークスが、当時の制度故にいずれも1勝のアドバンテージもなくプレーオフ制度に臨み、敗北。リーグ優勝も没収されてしまいました。2007年からのクライマックスシリーズは、優勝チームが敗退しても優勝の事実は没収されることもなく、シリーズ自体も無条件で1勝のアドバンテージを得られるようになったなど、シーズンで一位になることの価値を下げない工夫が為されていますよ。

最後に

今回はクライマックスシリーズの意義などを紹介しました。

2023年のプロ野球シーズンは両リーグとも一位が独走気味ですが、それでもクライマックスシリーズ出場争いがあることで盛り上がっていますよね。やはりクライマックスシリーズが存在することの意義は大きいと言えるでしょう。